相続税の基礎控除が引き下げられて以降、確実に相続税の申告が必要な相続人が増加しています。
相続税の申告にあたって、期限や提出書類など、様々なルールが定められています。
ルールが守られない場合には、罰則もありますので注意が必要です。
1.相続税の申告期限
2.相続税申告書の提出先と主な提出書類
3.相続税申告書に誤りがある場合
1.相続税の申告期限
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっています。
なお、この申告期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、その休み明けの日が申告期限となります。
もし、申告期限までに申告・納税ができなければ、ペナルティとして様々な税金が課税されることになります。
申告期限に間に合わなかった場合に課される税金
相続税において、ペナルティとして課される税金には、延滞税と加算税があります。
①延滞税
延滞税は、10ヶ月を過ぎて納税した場合に追加で払うことになる税金です。
②加算税
加算税は、次の3種類あります。
相続税の申告書の提出期限延長
次のような、やむを得ない事由があり、その事由が生じた日後1ヶ月以内に申告期限が到来する時は、2ヶ月の範囲内で申告期限の延長を申請できます。
- 相続人の認知、廃除、相続の回復等により相続人に異動が生じたとき
- 相続開始時に胎児がいて、その胎児が生まれた場合
- 遺贈に係る遺言書が発見されたときや、遺贈の放棄があったとき
- 死亡退職金等の支給が確定したとき
- 遺留分による減殺請求があったとき
相続の回復とは?
戸籍上は相続人になっていても、実際には相続人でない者(表見相続人)が、あたかも相続人であるかのように相続財産を取得してしまっていることがあります。
このような場合に、本当の相続人(真正相続人)は、表見相続人に相続財産を返せという請求ができます。
これを相続回復請求権といいます。
表見相続人に該当する例
- 相続欠格事由に該当する相続人
- 被相続人に相続廃除された相続人
- 虚偽の出生届で子となった者
- 虚偽の認知届で子となった者
- 無効な養子縁組で養子となった者
2.相続税申告書の提出先と主な提出書類
相続税の申告書は、《被相続人の死亡時の住所地》を管轄する税務署に提出します。
相続税申告の際に提出する主な書類
相続税申告の際には、以下の書類が必要です。
特例の特例を受ける場合など
特例の適用を受ける場合や、相続の状況によっては、以下の書類が必要となります。
※一部の特例等の主な書類について挙げています。
※場合によっては、追加で書類が必要です。
3.相続税申告書に誤りがある場合
相続税申告書に誤りがある場合、修正又は更生の請求をします。
①修正申告
相続税の申告書を提出した者がその申告書の提出後、誤り等があり申告内容が過少である場合、納税者自ら若しくは課税庁の調査により誤りを指摘され、正しい申告に改めるために提出する申告を「修正申告」といいます。
②更正の請求
相続税の申告書を提出した者がその申告書の提出後、財産の評価や計算の誤り等の為に申告書に記載した課税価格や税額が過大であることを発見した場合、税務署長に更正の請求することを「更生の請求」といいます。
相続税・贈与税に関する文書による照会
国税庁では、相続税・贈与税の申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に対して文書を送付し、申告書の内容の見直しを促す施策が、平成25年1月より行われています。
指摘事項として、計算誤りや控除の適用誤りが多いようです。具体的に、相続税額の2割加算漏れ、未成年者控除や障害者控除の控除額の計算誤りなどです。
この文書による照会は、調査ではなく「行政指導」です。したがって、送付されてきた文書に基づいて修正申告を行っても過少申告加算税は加算されません(期限後申告に係る修正申告については、無申告加算税が課される場合があります)。
ただし、記載された期限内に見直しを行わないなど必要があれば調査に移行することもあります。この調査の結果、申告内容を是正することになった場合には、過少(無)申告加算税が課されることがあります。
まとめ
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
「被相続人が死亡した日」ではなく、「被相続人が死亡したことを知った日」である点に注意が必要です。
もし、申告期限を過ぎてしまった場合、追加で税金を課されたり、一部の特例で不利な扱いを受けることもあります。
突然の相続発生により、手続きが難航することも考えられますが、申告期限内に申告・納付ができるよう、相続人間の協力が求められます。