小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、被相続人等の自宅や事業用の敷地の評価について、一定の要件の下、大きな減額ができる制度です。
小規模宅地等の特例には、様々な要件が定められている中で、今回は、平成25年度税制改正にて明確化された、被相続人が老人ホームに入居中に死亡した場合に焦点をあててみましょう。
☆☆参考☆☆小規模宅地等の特例の活用に関してはこちら
◆これを使わない手はない!小規模宅地等の特例
1.適用の基準が明確化されました
平成26年1月1日以降、被相続人が老人ホームへ入居していた際に、被相続人が住まなくなった宅地等について「小規模宅地等の特例」を適用するための基準が明確化されました。
次の2つの要件を満たすことで、小規模宅地等の特例の対象となることが国税庁によって確認されました。ただし、適用に際しては、いくつかの注意点もあります。
要件(1)介護が必要なため、入所した者である |
要件(2)家屋が貸付け等の用に供されていない |
2.制度が適用される際に3つの注意点があります
以下のような場合、制度の適用対象が異なったり、適用が出来なくなる場合がありますので、注意が必要です。
二世帯住宅区の場合
対象となる宅地等が二世帯住宅となっており、区分所有登記を行っていた場合、特例を受けられるのは、実際に被相続人が住んでいた区分のみとなります。
介護認定を受けることなく入所した場合
被相続人が介護認定を受けることなく入所した場合、老人ホームへ「介護の必要のために入所した者である」という要件を満たす事が出来ないため、特例の適用を受けられません。
所定の要件を満たさない場合
「介護認定の有効期限を過ぎている場合」、「介護認定の更新手続きを怠っていた場合」、「老人ホーム自体が『有料老人ホーム』として都道府県へ届出を行っていない場合」は、要件を満たさないため、特例は受けられません。
3.相続発生後に要介護認定を受けた場合はどうなるか
要介護認定、要支援認定には、申請から認定が下りるまで、一ヶ月程度かかる事があるため、この間に相続が発生する場合が考えられます。
制度の要件である「介護の必要のための入所」の判定は「相続開始直前」に行われるため、死後に認定が下りている場合では、制度の適用に疑問が生じます。
しかし、認定が下りるということは、相続開始直前において要介護、要支援状態にあったと考えられる事から、死後に認定が下りた場合であっても特例の適用対象となります。
具体的な申告方法
対象者が死亡すると被保険者の資格を喪失しますが、認定を受けると発行される要介護認定の結果通知書など、要介護認定を受けた事を証する書類を添付して申告することで、制度を適用できます。
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